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弁護士法人心 栄法律事務所

交通事故における人身事故と物損事故に関するQ&A

  • 文責:所長 弁護士 江口潤
  • 最終更新日:2021年5月20日

交通事故の物損事故と人身事故とは何ですか?

交通事故により、車両や所持品が損傷した場合が物損事故、事故により、人が負傷した場合に、警察に対して、自動車過失運転致傷等による処罰を求める場合が、人身事故です。

交通事故には、車両や所持品が損傷したものの、人は傷つかないこともあれば、身体に傷害を負う場合もあります。

以下に述べるとおり、警察に事故を届ける際、物損事故として届けるのか、それとも、加害者の処罰を求めて人身事故として届けるのによって、損害賠償等に違いが生じることがあります。

信号待ちで停車中に追突事故に遭い頸椎捻挫の傷害を負いました。加害者側保険会社から、治療費は支払うので物損事故扱いにしてほしいと頼まれましたが、なぜでしょうか?

人身事故となった場合、加害者に不利益があるからです。

交通事故の被害に遭った際、加害者側から、人身事故にはしないでほしいと頼まれることがあります。

人身事故として警察に届け出た場合、加害者の不利益が大きくなるからです。

人身事故の場合、免許の付加点数が加算されます。

安全運転義務違反として2点。

さらに、治療期間15日未満の軽傷であったとしても、追突事故のように、交通事故が専ら加害者の不注意によって発生した場合、3点が加算されます(参考リンク:愛知県警察・行政処分と点数制度)。

前歴がなくとも、あと1点で免許停止になる点数です。

また、事故の悪質性や被害者の傷害の程度によっては、自動車運転過失致傷罪等による刑事処罰の対象となるおそれがあります。

刑事処罰の対象となった場合、罰金刑であったとしても、前科が残ることになります。

処罰を受ける加害者がかわいそうです。治療費も出してくれると言っているので、物損事故扱いにしようと思いますが、大丈夫でしょうか?

負傷したにも関わらず物損事故扱いにした場合、様々な不利益を被るおそれがあります。

人身事故であるにも関わらず、警察には物損事故として届け出た場合、複数の不利益を被るおそれがあります。

物損事故として届け出る場合、警察は、実況見分を行いません。

事故に関する資料としては、「物件事故報告書」という書類が作成されますが、実況見分調書と比較すると、事故の概要しか記載されておらず、訴訟に移行するなどした際、詳細な事故状況の証拠がなく、不利益が生じるおそれがあります。

また、通常、事故により負傷者が出た場合には人身事故として届け出る、という経験則から、あえて物損事故扱いにしたということは、その負傷が軽微ではないかと扱われるおそれがあります。

すると、人身事故として届け出た場合と比較して、相手方保険会社からの治療費が早期に打ち切られるなどの不利益が生じます。

このため、事故発生について自身に過失がない場合には、人身事故として届け出るべきです。

事故直後は物損事故として届け出たのですが、人身事故に切り替えたいと思います。物損事故から人身事故への切り替えは可能でしょうか?

人身事故への切り替えは可能ですが、できる限り早く行う必要があります。

当初、物損事故として届け出ていたとしても、医師に診断書を作成してもらい、警察署に届け出れば、人身事故への切り替えは可能です。

ただし、事故から10日以上経過していた場合、事故と怪我との因果関係が明らかではない、等の理由で、人身事故への切り替えを認めてもらえない場合があるため、できる限り早期に警察に届け出る必要があります。

ただし、事故の発生について、自身にも相当の過失があり、かつ、相手方も負傷している場合には、人身事故に切り替えることで、ご自身も行政上及び刑事上の責任を負う可能性がございますので、事前に、弁護士にご相談ください。

弁護士法人心 栄法律事務所は、松坂屋名古屋店本店内にあり、アクセスが容易です。

交通事故でお悩みの方は、是非、一度ご相談ください。

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