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弁護士法人心 栄法律事務所

入通院慰謝料に関するQ&A

  • 文責:所長 弁護士 江口潤
  • 最終更新日:2021年6月21日

入通院慰謝料とは何ですか?

交通事故により負傷した場合に、被害者が加害者に対して請求することができる慰謝料のことです。

交通事故の被害者は、加害者に対して損害賠償を請求することができます。

そして、事故により負傷した被害者は、加害者に対し、精神的苦痛に対する補償として、慰謝料を請求することができます。

実務上、交通事故の慰謝料は、原則として、被害者が治療のために通院した期間に応じて算定されるため、「入通院慰謝料」と呼ばれています。

入通院慰謝料はどのように算定されますか?

自賠責保険の基準と裁判所における基準が存在します。

1 自賠責基準

⑴ 自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)では、入通院慰謝料は、1日当たり4300円(令和2年3月31日以前の事故については、1日当たり4200円)とされています。

⑵ 自賠責保険では、「慰謝料の対象となる日数は、被害者の傷害の態様、実治療日数その他を勘案して、治療期間の範囲内とする。」とされています。

⑶ 実務上は、実際に通院した日数(通院実日数)を2倍した日数と通院期間とを比較して、少ない方の日数に4300円を乗じて慰謝料を算出することが多いです。

2 裁判基準

⑴ 日弁連交通事故相談センター東京支部が発行している「民事交通事故訴訟損害賠償額算定基準」(いわゆる「赤い本」)には、入通院期間に応じた慰謝料の算定表が掲載されています。

⑵ 算定表は、原則として用いられる別表Ⅰと、負傷がむち打ち症で他覚所見がない場合、軽い打撲・挫創(傷)等の場合に用いられる別表Ⅱが存在します。

⑶ 交通事故実務では、この算定表の金額は、民事訴訟を提起して入通院慰謝料を請求した場合の金額と近しいものであるとして扱われています。

⑷ 通院期間が極めて短期間である場合を除けば、裁判基準により算定した入通院慰謝料は、自賠責基準により算定した金額を上回ることが多いです。

3 弁護士が代理人となる場合

弁護士が代理人となる場合、この裁判基準を前提として入通院慰謝料を請求します。

加害者側保険会社は、弁護士が代理人となっている以上、裁判所基準を著しく下回る金額を提示した場合、訴訟を提起される可能性があることを理解しているため、裁判所基準の慰謝料額を前提とした交渉に応じることが多いです。

交通事故に遭い、首と腰を捻挫したのですが、仕事が忙しく、痛みがなくなるまでの3か月間の間に、10日間しか通院できませんでした。加害者側保険会社からは、裁判基準では、実際の通院期間ではなく、通院実日数を3倍して通院期間とすることになっている、と言われたのですが、本当ですか?

通院実日数を3倍して通院期間とするのは、例外的な場合です。

赤い本の入通院慰謝料算定表は、通院実日数ではなく、入通院「期間」に応じて慰謝料を算定しています。

赤い本では、「通院が長期にわたる場合は、症状、治療内容、通院頻度をふまえ、実通院日数の3.5倍程度(別表Ⅱでは3倍程度)を慰謝料算定のための通院期間の目安とすることもある。」とされていますが、これは、通院が長期間にわたる場合の例外的な扱いです。

かつては、「慰謝料算定のための通院期間は、その期間を限度として、実治療日数の3倍程度を目安とする。」として、通院が長期にわたらない場合であっても、実治療日数の3倍を限度としていたのですが、同基準により算定した慰謝料の金額が、裁判実務と乖離していたため、基準が見直されたという経緯があります。

通院期間が3か月間であれば、通院が長期にわたるとは言えないため、通院実日数ではなく、通院期間を元に入通院慰謝料を請求すべきです。

加害者側保険会社から被害者に対して提示される入通院慰謝料の金額は、裁判基準と比較すると、低額であることが多いため、直ちに示談してしまうと、本来支払われるべき補償を受けられないおそれがあります。

一度、弁護士に相談して、金額が相当といえるかどうか、ご確認ください。

弁護士法人心 栄法律事務所は、松坂屋名古屋店本館内にあり、アクセスが容易です。

交通事故でお悩みの方は、是非、一度ご相談ください。

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